糖尿病の患者さんは、現在690万人と推定され、生活習慣の変化から増加傾向にあります。
糖尿病網膜症は、3大合併症の一つで、糖尿病にかかり、数年〜10年ほどたつと、糖尿病網膜症の危険が出てきます。
下図に示したように、 糖尿病網膜症は中途失明率の第1位をしめるおそろしい病気です。年間約3000人ほどの患者さんが失明の危険にさらされています。
糖尿病網膜症は、5〜10年で全糖尿病の方の50%程度に、20年で80%以上の方に発症が見られます。
初期は全く症状がありません。視力低下に気付いたときには、かなり進行していることが多く、定期的な眼底検査が必要です。
糖尿病網膜症では、網膜内で微妙な血管障害がゆっくり進行していきます。小さな血管のこぶ(微小血管瘤)や、点状出血(単純糖尿病網膜症)に始まり、次第に進行し新生血管や大きな出血になります。
ついには、増殖組織が出来(増殖性糖尿病網膜症)、大事な黄斑部に病変が及び(黄斑症)、視力が低下していきます。
定期的な眼底検査を受けることが基本です。眼底カメラを使用して、経過を記録します。
必要なときは、蛍光眼底撮影という薬剤を使用した眼底の血管造影検査も行ないます。
黄斑症は、OCTを使用することによって、より早期に発見できます。
最も基本となるのは、糖尿病の血糖コントロールです。眼科の治療法がいくら進歩しても血糖コントロールの不良な症例では、眼科の予後も不良になりやすいことが知られています。内科主治医と患者さん自身との信頼関係をもつことが重要であり、また、内科と眼科の密接な連携も必要です